カフェでの噛み合わないトークと夜のワークショップ

多田は46歳。風体は素晴らしくも酷くも年相応だったが、普通にしていてくれれば気さくで取っ付き易い性質だし波長は合いそうなインプレッションは講じる。
「そう言えばママ……じゃなかった、妻君は休職まん中と言ってましたよね?」
「うん。でもおそらく、じきに人前復帰するでしょうけど」
僕は他人事のように何の物証も無く言ったが、そうでないとこっちとて困る。
「やりたい商売が見つかれば良いんですけどね」
僕は今になって妙な違和感を覚えた。多田との報告はかなり噛み合っていない。
恐らく多田は「休職まん中」を「無職」と勘違いしている。
何ら偶然の品のような奇跡的な行き違いだった。
しかし、今更どうしてレヴューすればいいのか思い付か。どうして足掻いたところで妻は多田にそんな風に見られているのだから。
「ちなみに、妻君の前稼業は?」
「新聞紙配達を5年程やってたみたいです」
「5年!?5年もですか!そりゃあ恐ろしい!」
多田に妻の面談の予行実習を頼んだ物覚えはなかったのだが、隣人同士の夜のワークショップは延々と続いた。http://nyota.co/musee-vio/